このシリーズ、副題に「課外授業」と付いているせいか外伝というイメージがある。主人公の出生の秘密に関わる部分の謎と、それに伴う陰謀めいた部分は単なる外伝というレベルを通り越した物があるけれども、『神様のパズル』にあったようなシンプルな謎というものが無く、いくつもの謎が平行して存在している感じはやはり外伝的な物なのかもしれない。
もっとも作者の作風が変化した影響だといえばそうかもしれないけれど。
逃げ出した猫探しという展開なのでいままでのようなディスカッションというものが少ない。かといって猫の居場所をどうやって特定させるかといえば、量子コンピュータで推測させるというある種のブラックボックス的な手法でさばいているので、データを集めて論理的に答えを出すという面白さも無い。
タイトルにある「究極のドグマ」に関する問題もなんだか自分自身の身近な問題に切り替わって答えを出して、納得してしまっているので、まあそういう点ではいつもどおりの物語なので、今までと同じレベルの物語を期待していた場合、今回も安心して読むことができる。
だから外伝としてみればなんの不満もないし、読み終えて少しだけ元気がでて、明日もがんばろうという気持ちになれることができるのは素晴らしいと思うのだ。
猫に犬の遺伝子を組み込んだので「イコ」と名付けたとあるけれども、猫が主体であるのであれば「ネヌ」じゃないかという気もしないでもないが「ネヌ」じゃ、あんまりな名前になってしまうか。
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