『羊飼いの指輪』ジャンニ・ロダーリ

なぜ光文社古典新訳文庫が作者名を省略しているのか、どこかで読んだ記憶があるのだけれども、どこで読んだのか思い出せない。しかし、その時に作者名を省略することに納得したわけではなかったので、いまだにこのシリーズの省略された作者名には不便な思いをすることがある。
今回はジャンニ・ロダーリの『羊飼いの指輪』が新訳された。これは読まないといけないなあと思ったけれども、考えてみると前回翻訳された『猫とともに去りぬ』は読んでいない。その後、他の出版社でもジャンニ・ロダーリの作品が翻訳され、気にはなる作家だったけれども、未読のままだった。
今回は読者参加型というか、オチが三種類ついていて、読み手は好きな結末を選ぶことができるという趣向の作品集だったので読んでみることにした。
もっとも、好きな結末を選ぶことができるといっても結局のところ三つの結末を全部読まなければ選びようがないので、結末を選ぶというよりも三種類の結末が付いていると考えた方がいい。ただし、末尾に作者が選んだ結末というものが付いていて、作者がどの結末を気に入っているのかというのがわかるようになっているところは少し興味深かった。
ピノキオの話など、昔話を題材にした話はひねりというか皮肉さがあって面白かったのだが、全体的には上品だなあというのが僕の印象で、口当たりが良すぎてもう少し毒があったほうが僕にとっては好みだった。

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