『時間の種』ジョン・ウィンダム

もう少し翻訳されていたような気もするけれども、この本が日本で翻訳された唯一のジョン・ウィンダムの短編集。
ジョン・ウィンダムといえば『トリフィド時代』で『トリフィド時代』で『トリフィド時代』で、後は『海竜めざめる』ぐらい、『さなぎ』も入れてもいいかなという印象で、実際のところこの三冊しか読んでいない。
破滅SF物が好きな時期に読んだので、僕にとってのジョン・ウィンダムは破滅SFの書き手で『呪われた村』などは論外だったのだ。
でなおかつジョン・ウィンダムは長編作家というイメージがこびりついていたので短編集など論外だったのである。
しかし、復刊したとなるとそういうわけにもいかない。早速読んでみることにするわけだが、なにしろジョン・ウィンダムといえば活躍していた時代が時代である。
今さら読んで面白いだろうかという気持ちもある反面、早川書房の異色作家短編集19巻『棄ててきた女 アンソロジー/イギリス篇』に収録された「時間の縫い目」や『千の脚を持つ男 怪物ホラー傑作選』の「お人好し」などはけっこう面白かったので、ちょっと期待をしたいところだった。
が、読んでみるとやはり古びていた。
多分、アンソロジーなどに一編程度収録されているものを読む分には面白く感じられるのだろうけれども、まとめて読むと、バラエティ豊かであるのに何故だが古びているように感じられるのだ。
僕の読み方が悪いのかも知れないけれども、多分、僕にとってのジョン・ウィンダムは一気に読み切る作家ではなく、たまに一編読むというような感じで触れるのがちょうどいい作家なのだろう。

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