うーん、悪くはなかったけれども、とりたてて良くもなかったというのは、やはりこの作者の<屍竜戦記>シリーズが面白すぎたせいかもしれない。
<屍竜戦記>シリーズがファンタジーの世界でありながら、その世界を成立させている設定の部分が論理的でSFとしての面白さが根底に流れていたのだが、今回は純粋なSFである。
新書ノベルズという形態でありながらもレーベルとしてはライトノベルに属する以上、レーベルに沿った物語でなければならないという制約がマイナス方向に働いてしまった気もする。
もっとも、ライトノベルとして見れば、上下巻という分量に見合った以上の面白さと満足感は得ることができたので、それ以上のものを求めるのは無い物ねだりだよね。
<屍竜戦記>シリーズはどうやら諸般の事情で続きを出すことができないようなので、残念なんだけれども、それ以上の面白さを持つ物語をこの作者には書いてもらいたいものだと思う。
上下巻ともに巻末に作者自身によるあとがきが書かれてあり、作者によるちょっとしたクイズが出されているのだが、書き手側と読み手側とでの温度差のようなものを感じてしまった。作者にとっては大事なことなんだろうけれども、読み手としては面白ければそれで十分なんだよね。
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