まさか続きが出るとは思わなかった。
もっとも、過去には『三月、七日。』に対してその後の話として『三月、七日。―その後のハナシ』が書かれたことがあったから、続きが書かれても不思議ではないのだが、何しろ前作が売れなければ続きが書かれる可能性も少なくなる。
こうして続きが出せたということは前作もそれなりに売れたんだなあと思うと森橋ビンゴのファンとしてはうれしくなる。
あとがきでも書かれているように、続編が単純に題名に「2」とか数字をつけるだけの題名になっていないのがうれしい。
もちろん、数字ではなく副題を付けて処理するという手もあるだろうけれども、こうして新しい題名を付けられるほうが、この作品にはふさわしいような気がする。
今回も、作中作が章の合間に分断されて差し込まれている。
不器用で、それゆえにもどかしく感じる二人の恋の話に、作中に挟み込まれる作中作がいい味を出しているのだ。
「何もかも言葉で説明すればいいってもんじゃないだろう」という主人公の兄のセリフ。微妙な心の機敏さが、読んでいて心地よい。
作者のあとがきどおりに進むのであれば、春あたりにこの続きが出るらしい。
ゆっくりと春の訪れを待とう。
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