前回シルヴァーバーグの『いまひとたびの生』を読んでから二年近くが経ってしまった。
まあシルヴァーバーグの作品が翻訳されることなど無くなってしまったので仕方ないのだが、シルヴァーバーグの作品はもう少し気合を入れて未読作品を読まなければいけないなと思いつつも手に入れてしばらく積読状態だった。
今ひとつ地味な感じがするのが原因だったかもしれない。
実際に読んでみるとたしかに地味だ。ハインラインの『異星の客』のシルヴァーバーグ版といった感じでもある。『異星の客』の方はハインラインの饒舌さとやりたい放題やっているところが面白かったのだが、『異星の客』に比べるとページ数も少ないし、それ故にまじめさが出てしまっている。
この小説における1963年という時代に書かれた1999年という未来はもちろん僕たちが通過してきた1999年とはかけ離れた未来だが、SFは未来予測の物語ではないのは当たり前のこと。シルヴァーバーグが描いた1999年という未来は、2999年から観光目的でタイムトラベルしてきたヴォーナン19という人物によって翻弄されそして今とは異なる世界でありながらも、まるっきり間違っているわけではないのだ。
古くて新しいとでも言うべきか、地味なんだけれども、面白い。
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