『棒がいっぽん』高野文子

  • 著: 高野 文子
  • 販売元/出版社: マガジンハウス
  • 発売日: 1995/07

Amazon/bk1

こうして、自分が読んで面白いと感じた本の感想をブログ記事として書いているということは、他人にその本を読むことを薦めているのと同じ意味を持つのだが、では自分が他人から面白い本だからと薦められた本を読むかといえば必ずしも読むわけではない。やはり薦められても自分が面白そうだと感じなければ読まないのだ。
高野文子という漫画家の存在を知ったのは、友人から、お前ならば高野文子の『絶対安全剃刀』を気に入るだろうと薦められた時からで、それを思うと高野文子という漫画家の存在を知ったのはわりと昔だったのだが、読まずにそのままきてしまった。
機会があれば読もうと思い続けてきたのだが、ただでさえ寡作な人なのに、作風もベストセラーになるような作風ではなく、地方の書店では新刊の発売と同時に買わなければ手に入れることもままならない作家の一人なので読むタイミングがぜんぜん合わない。
そんなあるとき、といっても数ヶ月前のことだが、長嶋有の『電化製品列伝』を読んだら長嶋有が高野文子の漫画を取り上げていた。しかもSFっぽい設定の漫画だ。
高野文子がSFっぽい漫画を描いているとは予想だにしなかったので、結局ネット書店を通じて買ってしまった。
うーむ、今までタイミングが合わないなどと、うだうだしていた数十年間はいったいなんだったんだろうと思いつつも、その長い期間は高野文子の漫画を読むための準備期間だったのだと思うことにした。
で、ようやくタイミングが合い、高野文子の作品に触れることができたのだ。
なんて軽やかな絵なんだろう。
そしてなんて軽やかな構図なんだろう。
市川春子が高野文子との類似性を指摘されているのだが、確かに似ている。でもこうして比べてみると、本質的な部分がまるっきり違う。
そうか、高野文子は孤高の存在だと思っていたのだが、つながる系譜があったのだ。しかし、それはそれとして、高野文子の持つ自由さというのはちょっと独り占めしたくなるような世界だ。
さて、次はどの作品を読もうか。

コメント

タイトルとURLをコピーしました