『謎の物語』紀田順一郎

  • 著: 紀田 順一郎
  • 販売元/出版社: 筑摩書房
  • 発売日: 2012/2/8

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ハヤカワSF文庫から去年出た『冷たい方程式』と同様で、ちくまプリマーブックスから出た『謎の物語』の単純な文庫化と思っていたら収録作品が大幅に変わっていたのに気づいてあわてて購入。
石川喬司の『SF・ミステリおもろ大百科』の中で三大リドル・ストーリーとされている三作品が収録されているところが一番のポイントかな。といっても三大リドル・ストーリーが、
F・R・ストックトン「女か虎か」
C・モフェット「謎のカード」
マーク・トウェイン「恐ろしき、悲惨きわまる中世のロマンス」
であることを知っている人がどのくらいいるのか不明なんだけどね。
僕は「恐ろしき、悲惨きわまる中世のロマンス」を旺文社文庫の『バーレスク風自叙伝』で読んだことがあったのだけれども、改めてこの短編だけを見たとき、こんなに短い話だったのかと思ってしまった。『バーレスク風自叙伝』が手元に無いので確認するのができないのがちょっと残念。
「女か虎か」に関しては、続編の「三日月刀の督励官」とJ・モフィットによる「女か虎か」の謎解き編でもある「女と虎と」が収録されているのがうれしい。もっとも「女と虎と」に関しては石川喬司の『SF・ミステリおもろ大百科』でネタバレで紹介されていたから結末は知っていたけど。
「謎のカード」に関してもC・モフェット本人による続編である「続・謎のカード」が収録されている。こちらも『SF・ミステリおもろ大百科』でネタバレ紹介されていたんだけれども、こうして現物を読むことができるのはありがたい。「続・謎のカード」はネットでの評判を見ると悪いんだが、僕はそんなに悪いとは思わなかった。まあ、リドル・ストーリーの謎解きとして捉えると、後出しじゃんけんのような追加設定があったりしてがっかりする真相かもしれないが、そういうものだという覚悟の上で読めばそれほど悪くは無いと思う。
しかし、E・D・ホッグによる「謎のカード事件」を収録しなかったのはせめてもの情けかな。
残りの収録作になると純粋なリドル・ストーリーとはいえない話になってくるが、この本はあくまで「謎」の物語なのでリドル・ストーリーということを期待しなければ楽しむことができる。ラドヤード・キプリングの「園丁」を収録しているのがこのアンソロジーのすばらしいところだね。

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