光文社文庫として『式貴士 怪奇小説コレクション』が出たのが2008年2月だから、かれこれ4年も前のことだ。
コレクションと名が付いているのでひょっとしたらその後も何冊か出るのかなとしばらくの間、期待していたけれども、ようやく第二段が出た。
僕は式貴士名義の作品は角川文庫で出たものしか読んでいない上に、文庫化されたもの全部は読んでいない。
読まなくなってしまったのはつまらなくなったからというわけではなく、文庫版は途中から長いあとがきが付かなくなってしまったからだ。ハードカバーのほうは長いあとがきが付いていたのだけれども、当時はまだ高校生だったのでハードカバーを買うほどの資金力などあるわけもなく、そのまま自然消滅してしまった。
そんなわけで、途中で読むのをやめてしまったことで、なんとなく式貴士には後ろめたい気持ちがある。
もう一度最初からしっかりと読み直そうという気持ちもあるのだが、今、読み直して、あの当時の面白さを再び味わうことができるのだろうかという不安もある。
巻末エッセイを寄稿している瀬名秀明のような式貴士に対する絶大的な信頼感と力強さというのは僕には無い。のだが、こうして読み直してみると、そんな小さな悩みなど吹き飛ばしてしまう強さがあった。
特に今回は、抒情小説コレクションということで前回とはまったく毛色の異なるセレクションとなっている。一気に連続して読むと食傷気味になってしまう面もあるけれども、一日篇ずつくらいの感覚で読むとちょうどいい。
欲をいうならば再編集という形ではなく、オリジナルのままですべての作品を復刊してほしいのだが、それは難しい話なのだろう。
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