『死の扉』レオ・ブルース

  • 訳: 小林 晋
  • 著: レオ・ブルース
  • 販売元/出版社: 東京創元社
  • 発売日: 2012/1/27

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レオ・ブルースという作者名だけをみると、ハードボイルド小説を書いていそうな感じなんだけれども、実際は本格ミステリを書いている。
どうも、そんな作者名からくる先入観があったので、実際に読み始めてみて、登場人物たちのどこか人を食ったようなユーモア感に少しばかり戸惑うと同時に、思わぬ掘り出し物を見つけたという喜びも味わうことが出来た。
作風的にはエドマンド・クリスピンが一番近い感じだけれども、クリスピンよりはおとなしめで、そういう点では、今までクリスピンほど翻訳されてこなかったというのもうなずけないことも無い。
ある夜、町で一番の嫌われ者の老婆が自宅で殺される。不審に感じたパトロール中の警官が中へ入り、そこで老婆の死体を発見するのだが、犯人はまだ室内に残っており警官も犯人によって殺されてしまう。
容疑者は多数。誰が老婆を殺してもおかしくない状況で、歴史教師のキャロラス・ディーンが素人探偵を買ってでて捜査に乗りだす。
本格ミステリということであれば意外な犯人でなければならなく、それを考えると多数に上る容疑者は犯人ではありえない。犯人は容疑者以外の人物であることが好ましいのだが、容疑者以外の人物が犯人だとすると老婆殺しの動機が無くなってしまう。では、やはり容疑者の中に犯人はいるのであろうか。
などと考えながら読んでいくと見事に作者にだまされてしまった。
メイントリックは目新しいものでは無いけれども、トリックのひねり具合と使い方がちょっとおもしろい。

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