『黄金の王 白銀の王』沢村凜

  • 著: 沢村 凜
  • 販売元/出版社: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2012/1/25

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王族の血筋を引く双子の兄弟が後継者争いをしたためにそれ以降それぞれの血を引く子孫たちは鳳穐と旺廈と名乗り互いに相手を滅ぼすために戦争をし、優位に立った側がこの国を治めていた。
そしてある時代、鳳穐が圧倒的な優位にたち、旺廈の方は直系の子孫はただ一人となってしまった。
この物語は鳳穐の君主が旺廈のただ一人の直系子孫の行く末をどうするか悩むところから始まる。
そして架空の時代、架空の国を舞台にしながらも自分の治める小さな島国を守るために何をするべきかについて悩み続ける二人の男の物語だ。かたや、王として、そしてもう一人は囚われの王として。
「迪学」という架空の学問が登場する。ひとことでまとめると「なすべきことをなせ」という学問だ。
沢村凜の物語の作り方のうまさは、最小限の設定で最大限の効果を引き出すところだろう。「迪学」という学問をこの物語に放り込むことで、あまりにも理想論過ぎる主人公たちの考え方に重みが出て、そして納得させられる。あるいは、現実の社会における政治に対する不満がよけいに、この物語を受け入れたくなる気持ちにさせるのかもしれない。
そして誰からも理解されないままになすべきことをしつづける主人公たちの姿は、理解されないが故に悲しみに満ちていて、心にずしりとくるのだ。

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