『花束に謎のリボン』松尾由美

  • 著: 松尾 由美
  • 販売元/出版社: 光文社
  • 発売日: 2012/2/14

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主人公は花屋の女性店員と小説家の恋人。
あるとき、不思議な組み合わせの花束を注文したお客さんがいたことを恋人に話したところ、その恋人は意外な推理をし始めた。
小説家の恋人は推理小説を書いているわけではない。作中ではどんなジャンルの小説を書いているのかは明らかにされないのだが、それほど売れているわけでもなく、かろうじて生計を立てることができている程度の自転車操業状態。
そんな彼が語りだす推理はどこかネガティブでそこまで後ろ向きな発想をしなくてもいいじゃないかと思うような結論に結びつく。この本はそんな連作短編集だ。
しかも、その推理があたっているのであればまだしも、まったく見当はずれまでとはいかないもののはずしてばかりいるし、物語の結末に至ってもかならずしも謎が解明されるわけでもない。
ある意味、リアルな物語ともいえるのだが、どこか浮世離れした雰囲気も併せ持つ。
ネガティブな推理ばかりを繰り広げる二人の関係の徐々に怪しくなり始め、それはボタンの掛け違いなのか、それとも決定的な終わりなのか。読む側にとっても謎の推理もさることながら二人の関係の方が気になっていき始める。
ネガティブな推理という内容に気を引かれて手にとって見たのだが、ほろ苦い最後の話に満足することができた。

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