どうも僕はインド文化とSFの組み合わせたものと相性があまりよくないのかもしれない。
アミタヴ・ゴーシュの『カルカッタ染色体』もSFとしてみるとどうかと思う感じだったし、ロジャー・ゼラズニイの『光の王』は買ったまま積読状態だ。
ものすごく久しぶりに翻訳されたイアン・マクドナルドの『サイバラバード・デイズ』も『火星夜想曲』を書いたマクドナルドの久しぶりの本だということで期待して読んだのだが、最初の話を読んで、頭の中に大量に疑問符が浮かんだ。
この話のどこにも『火星夜想曲』のような雰囲気は無い。
リミックスとサンプリングの時代だと言っていたマクドナルドはどこかへ行ってしまったようだ。
とはいえど、我慢して読み続けると、次第に世界が見えてき始める。そしてそこからがSFとして本当に面白くなるのだ。
最初から後半のような物語を描いてくれればよかったのにと思ってしまうが、しかし、序盤においてSFらしくない物語が語られることによって後半にマクドナルドが描いた世界がより際立ってくるのだろう。しかしインドという世界が僕の中でうまくイメージできたのかといえばそうでもない。多分それは中途半端にインドの文化を理解していてそれがマクドナルドの物語を読んだ時に邪魔をしていたのだろう。
昔のような力業は出来なくなってしまったかもしれないけれども、その変わり物をマクドナルドは手に入れたようだ。
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