『タイムマシン』ウェルズ

  • 訳: 池 央耿
  • 著: ハーバート・ジョージ ウェルズ
  • 販売元/出版社: 光文社
  • 発売日: 2012/4/12

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書店で手にとってあまりの薄さに、まさかとは思ったけれども目次を見たら「タイムマシン」しか収録されていなかった。
もっとも小説は「タイムマシン」しか収録されていないけれども、ウェルズによる補遺、これは1931年版の序にあたる文章、そしてマリナ・ウォーナーによる補説、パトリック・パリンダーのH・G・ウェルズ小伝、巽孝之の解説、ウェルズ年譜、訳者あとがきと、タイムマシン三昧といった内容で、おまけの部分の方が本文よりも読みがいがある。
ウェルズは実は、『宇宙戦争』しか読んだことがなく、「タイムマシン」を読むのはこれが初めて。とはいうものの、映画やコミック化された漫画、ガイドブックでのあらすじなどで、おおかたどんな内容なのか知っていたので、いまさら改めて読む必要もないだろうと思っていた。だからといって改めて読む必要がまったくないかといえばそう言いきる自信もそれほど無いのだけれども、マリナ・ウォーナーによる補説を読む上で実際に「タイムマシン」を読んでおいたほうが理解しやすい面もあり、そういう点においては「タイムマシン」という小説は論文におけるサブテキスト的な存在にもなりえているということでもある。この物語から、タイムマシンというガジェットが一人歩きしたのと同時に、この物語からいろいろな要素が一人歩きしはじめていくのだろう。

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