『時間の歩き方(2)』榎本ナリコ

  • 著: 榎本 ナリコ
  • 販売元/出版社: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2010/10/7

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榎本ナリコの『時間の歩き方』の一巻が出たのが、2009年の4月だった。
タイムパラドックスを扱った物語として面白かった印象が残っているし、当時の感想を見ても設定がよく出来ていて次の巻が楽しみだと書いている。
のだが、どんな話だったのかほとんど覚えていない。歳はとりたくないものだなあとつくづく思うのだが、忘れてしまったのは仕方が無い。
そう、話の内容を忘れてしまったのは仕方ないのだが、しかし、二巻が出ていたのに気づかなかったのは自分でもいかがなものかと思う。
ふとしたひょうしに三巻が出ていたのに気づいて、驚いたと同時にショックを受けた。たぶん、僕がどれだけショックを受けたか想像すら出来ないだろう。
あわてて二巻を探し買い求めたので事なきを得たのでよかったのだが、ひょっとしたら未来永劫、『時間の歩き方』が続いていたことに気づかなかった可能性もある。
それはともかくとして、二巻はどうだったのかというと、それほどあわてて買う必要もなく、少しペースダウンしたかなという内容でもあった。
主人公たちの話から少しはずれ、別のエピソードが描かれる。
時間旅行には因果律を守るための人間側が設定したルールがあり、それに違反した者は刑罰を受ける。通常の時間軸とは別の場所にある時間刑務所に収容され違反した時間だけ眠らされるのだ。1日分の違反をした者は1日だけ眠らされるのだが、眠っている時間は生体活動が行われているのでつまり、1日だけ寿命が短くなる。10年分違反した者は10年間眠らされ、100年間違反した者はおそらく眠っている間に寿命が来て、目覚めると同時に死ぬ。
今回は50年間の違反をした作家の物語で、彼が何故50年分の違反をすることとなったのかが最大の焦点となるのだが、それは同時に、違反が時間に換算されるという設定を作り出した榎本ナリコの面白さでもあるのだ。

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