『ふちなしのかがみ』辻村深月

  • 著: 辻村 深月
  • 販売元/出版社: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2012/6/22

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辻村深月のホラーということで読んでみた。
なによりも短編集ということでしかも薄い。
辻村深月の小説はまだ二冊しか読んでいないのだが、そのどちらもミステリでありながら超常現象的な要素が骨格の部分に含まれている。
超常現象を骨格に組み込みながら論理を構築しているのだ。で今回はそこから論理を取り除いたといったかんじかもしれない、と読む前はそう思った。
が、実際に読んでみると、なかなか興味深い話が多かった。
ホラーでありながら論理的な話があったり、怖いどころか良い話もあったりとホラーというくくりで閉じ込めることができないバラエティに飛んだ短編集だったのだ。
いちばんユニークなのは「おとうさん、したいがあるよ」で認知症を患った祖母の家にいくと次から次へと死体が出てくるという話。祖母が殺したのかそれとも祖父なのか。
しかし、主人公たちはだれも犯人探しなどせず、死体を隠すことに専念する。そしてしばらくしてまた訪問すると、死体が見つかる。
怖いというよりもスラップスティック. コメディ的な展開をするのだ。
しかし、それでいてそこで起こっている現象に明確な解答が与えられないために居座りの悪さと不気味さが残る。
作中で与えられている情報を元にすると何らかの答えが出てきそうな感じもするけれども、ここは答えをださないまま楽しむのがいいのかもしれない。

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