『それは私と少女は言った』タカハシマコ

  • 著: タカハシ マコ
  • 販売元/出版社: 講談社
  • 発売日: 2012/7/6

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童謡というのは全てがそうだというわけではないが、どこか不気味で怖い歌詞のものがある。
子供が持つある種の残虐性が歌詞に反映されているのかどうかはわからないが、この怖さと不気味さは日本特有のものではなく万国共通だったりする。
ミステリの世界でよく使われるマザーグースの歌の中にも不気味な内容のものがある。
おそらく一番有名な歌は、ヴァン・ダインの『僧正殺人事件』で使われた「誰が駒鳥を殺したの」だろう。
タカハシマコの新作はこの有名なマザーグースの歌を元にやはりミステリ仕立てにした物語だ。
五人の少女が踏み切りで電車を待っている目の前で、一人の少女が踏み切りを渡り、そして電車にはねられ死んでしまう。
自殺である。
少女が何故死を選んだのか、しかも五人の少女の目の前で。
少女の死から三年後、五人の少女のその後が描かれ、そして三年の月日が経ちながらも自殺した少女の死は五人の少女をつかんで離さず、少しずつ死の真相が明らかにされていく。
マザーグースの歌では14匹の生き物が登場するが、さすがにこの物語では14人もの少女は登場せず、5人に絞られるのだが、彼女たちの名前はマザーグースの歌に登場する動物たちに対応する名前を持っている。
誰が少女を殺したのか。
それは題名どおり。
今までのタカハシマコの作品以上にスタイリッシュでダークで毒のある話だ。

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