『遠くの声に耳を澄ませて』を読んだのでその勢いに任せて『スコーレNo4』も読んでみた。
人生には四つの小さな学校(スコーレ)がある。家族、恋愛、仕事、そして-
というキャッチコピーが付けられたこの本だが、読んでみるとそれほど「学校(スコーレ)」というものは感じられない。
全四話のうち最初の二編は主人公が中学と高校の時の話なので学校というものが登場するけれども、家族や恋愛、仕事というものの中で主人公はそれぞれ何かを学び成長していくが、成長していく過程でそれほど大きく挫折することなく、幸せになっていくせいかもしれない。
かといって、主人公が挫折し、人生を転落していくような話を望んでいるわけではないので、ご都合主義的にハッピーエンドへと向かっていく物語に不満は無い。たまにこういう本を読むと心が和やかになるね。
ただ、前半の二編の方が失恋というものを扱っていて、そして同時に主人公がまだ幼い故に世界が見えず、もどかしさや悲しさが物語に横たわっているので個人的には好きだった。
後半の二編も前半の二編が持っていた要素を持ち続けていたらもっと心に響く物語になっただろうけれども、それは個人的な欲望に過ぎない。
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