前日譚という形で映画化されたことでこういう企画が通ったということはありがたいのだが、肝心の内容はというとメインであるはずのジョン・キャンベル・Jrの短編は一作だけで、残りは違う作家の作品。
しかも、キャンベルつながりというわけでもないだろうに、全七作という収録作の中でラムジー・キャンベルの作品が五作も収録されていて、これじゃあラムジー・キャンベル短篇集といってしまっても構わないだろうという偏った収録内容。で、残りの一作はラヴクラフトの「クトゥルフの呼び声」で、のジョン・キャンベル・Jrとラヴクラフトに挟まれる形でラムジー・キャンベルの作品が五作並んでいる。
しかし、別に不満など何もない。むしろすごいなあと思うくらいなのだ。
キャンベルの「影が行く」、とりあえず個人的にはこっちの題名のほうが好きなのでこの題名で通すのだが、なんだかんだいって、矢野徹訳、中村融訳、そして増田まもる訳と三種類を読んでしまった。だからといってどれがいいかというのはないのだが、今回、こうして見ると短編といっても意外と分量があることに気がついた。無論、他の作品が短い話ばかりということもあるかもしれないが。
ラムジー・キャンベル短篇集といっても過言ではない本なので、ラムジー・キャンベルの作品を読んだことのない僕としては満足感はあって、売れ行きしだいでは次の本も出せそうな様子なので、売れて欲しいものだね。
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