突然、新刊のラインナップに上がったので驚いた。
そういえば確かに、かつて、筒井康隆がライトノベルを書くということで話題になったことがあったのだが、発表した媒体が媒体であったために、といっても媒体そのものが悪いというよりも何時出るのかわからないくらいにめったに出ない「ファウスト」という雑誌だったためにすっかり忘れてしまっていたのだ。
しかしもっと驚いたのはあとがきで、筒井康隆本人によるこのあとがきを読むと、第一部、第二部は「ファウスト」に連載されたのだが、最後の第三部は描きおろしなのだ。
わずか190ページほど、挿絵を除けばもっと少ないページ数なのに、連載だけで完結することができず、たった二回しか連載していないのだからしかたがないのだが、描きおろしでようやく完結させることができて、しかもこれだけの長い年月がかかっていたのだ。
で、肝心の中身の方はというと、21世紀の“時をかける少女”という触れ込みでありながら、『時をかける少女』と比較すると随分と過激で、いい加減で、作者自身によるアンサーソングのようでもありながら、そうでもなく、筒井康隆だからこんなかんじに書くことができたともいえるのだが、作者名を伏せて読んだとしたら、面白いと感じたのかといえば、面白いとは思わなかっただろう。
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