『ミステリマガジン 2012年 10月号』

  • 販売元/出版社: 早川書房
  • 発売日: 2012/8/25

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世間ではもう次月号が出ているというのに先月号に関して書く。
というのも地方に住んでいると、なかなか書店に入荷しない本というのが多く、早川書房のSFマガジンと比べると、同じ出版社の雑誌でもミステリマガジンの方は入荷する書店が少ない。
とりあえず実物を見てから判断しようと思いながらものんびりと構えていたら、いつもなら入荷している書店に当の雑誌が見当たらない。入荷しなかったのかそれともすでに売り切れてしまっていたのかどっちかだが、無いものは仕方がない。
結局ネット書店を利用するはめになってしまった。
実物を見てから判断するということができなくなってしまったわけだが、実際のところ、実物を見ようが見まいが買うつもりだったので後悔してはいない。
とりあえず、一番の目当てだったのはアーサー・ポージスの「一ドル九十八セント」で、石川喬司の『SF・ミステリおもろ大百科』の中でネタバレでオチまで書かれて紹介されていながらも、何時かは読みたいと思っていて、論創海外ミステリでアーサー・ポージスの『八一三号車室にて』出たときに収録されていればよかったのだが、といってもこの本を買った時にはアーサー・ポージスが「一ドル九十八セント」を書いていたことなどすっかり忘れてしまっていたので文句も言えないし、さらにいえば、この「一ドル九十八セント」、講談社文庫の『世界ショートショート傑作選1』に収録されていて、多分すでに読んでいる。
「一ドル九十八セント」がどんな内容なのかは覚えているのに、これを読んだことは忘れてしまっているというのはいかがなものかとも思うのだが、再々読してもやはりよくできた話であることに変わりはなかった。
翻訳されたブラッドベリの短編はなんらかの短篇集に収録されているものだと思い込んでいたけれど、意外と雑誌に単発で翻訳されたまま、書籍未収録のものがあるみたいだ。
「町みなが眠ったなかで」は都筑道夫による翻訳で、しかも続編がありながらも書籍未収録の作品。続編は未訳ということなので、ぜひとも続編の方も翻訳してもらいたいものだ。
というわけで、今回の山口雅也責任編集特集は十分に満足できる特集だったけれども、おまけの、次号予告で予定されている作品を見て思わずほくそ笑んでしまった。
かつて、架空のアンソロジーとして書いた「箱テーマのアンソロジー」でも取り上げた、リチャード・マシスンの「箱の中にあったのは」が予告されているのだ。
むろん、これはおまけの予告なので、次号を待っても掲載されることはないのだが、それでもいつか実現してくれることを期待するのである。

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