早川書房の次は東京創元社かなと思っていたんだけれども、なんと国書刊行会への訪問だった。
国書刊行会というと、ミステリとSFを時々出してくれる変わった出版社というイメージがあって、さらにこの出版社の今後の刊行予定のラインナップを見るとなかなかすごいラインナップなので刊行されるのが待ち遠しいばかりなんだけれども、ラインナップの凄さの割になかなか予定通り本が出ない出版社で、そんな調子で経営が成り立つのか心配にもなったりする。しかし今回の特集を読んで、そういった疑問や謎が氷解したのは思わぬ出来事だった。
そもそも、あまり疑問にも思わなかった国書刊行会という社名の謎とか、やたらめったら高い本しか出さない理由とか、わかってみるとなんの不思議もなく、ようするに需要と供給のバランスをうまいこと見ぬいて出版している賢い出版社なのであった。
だいたいがして、一冊五万円以下の本は作るななどと命令が下る出版社ということからして尋常ではないのだ。で、こんなことが当たり前のようになっている出版社の出す本をおいそれと気軽に買うことなど難しいのだけれども、だけれども、清水の舞台から飛び降りる気持ち、もしくは自分へのご褒美として買った国書刊行会の本は、装幀といい中身といい、買って良かったと心のそこから思うことのできる本ばかりであることもまた事実だ。
時折、国書刊行会が文庫を出してくれればいいのになあと思うことがあるのだけれども、多分、出すことなどないだろうし、仮に出したとしても、それは文庫サイズの単行本で、ものすごく凝った装幀だったりするのだろう。
そういう意味では多分、紙の本というのも大切にしているこの会社は、将来にわたっても電子書籍には手を出さないだろう。でもひょっとしたら想像を絶するような形の電子書籍を出すのかもしれない気もする。
そんな、何をするのか予想もつかないような不思議な出版社なのである。
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