『時の鳥を求めて』レジス・ロワゼル セルジュ・ル・タンド

  • 訳: 原正人
  • 著: レジス・ロワゼル セルジュ・ル・タンド
  • 販売元/出版社: 飛鳥新社
  • 発売日: 2012/11/6

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アメコミといいバンド・デシネといい、値段が高いのが難点なんだけれども、しかし、それは基本的にフルカラーでさらに言えばサイズが大きいので仕方がない。
買って読めば、ああ、この本は買ってよかったと満足感を得ることができるのだが、それでも絵の場合、好き嫌いというのがあるので実際に手にとって中身を確認してからでないと、その場の直感だけで買ってしまうには勇気がいる。
『時の鳥を求めて』に関していえば、表紙の絵を見ただけで絵の好き嫌いの問題は解決してしまったので、書店で見かけた瞬間に手にとってそのままレジに向かうことになんの躊躇もなかった。
あまりアメコミやバンド・デシネに詳しくはないのだけれども、それでも知っている限りにおいてここまでストレートなヒロイックファンタジーというのは珍しい気もする。
220ページ弱と紙面は少ない。ヒロイックファンタジーというとやたらと長大な物語というイメージもあるし、日本のマンガの一般的なページ数と比較してもやはり少ない。しかし、いざ読み始めるとこれが長い。一コマ一コマの絵の魅力に魅了され、ページをめくる手が進まないのだ。多分これは日本のマンガが一瞬を切り取って一コマにしているのに対して、一コマに様々な情報を詰め込んで一コマに時間の流れの変化も描いているせいでもあると思う。
そして絵の魅力もさておき物語の方も単純な物語ではなく、多少説明不足と思う部分もありながらもそこは想像で補うとしても、引退した老騎士と彼の娘かもしれないヒロインの世界を救う旅の物語は、次第に老騎士自身の物語と重ね合わさり、そして最後に一つに重なって行くのだ。
久しぶりに堪能した。

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