すごくオーソドックスなSF短篇集といった感じ。
オビには時間SFの金字塔なんて書かれているけれども、金字塔というのはだいぶ誇張し過ぎだ。
不老不死のサイボーグエージェントとか、24世紀の時代のなんだかあまり住みやすくなさそうな社会設定とか、いろいろと細かな設定の部分で面白そうな設定を盛り込んでいるけれども、個々の短編ではそういった設定は表立って語られず、あくまでほのめかされる程度。作者自身はある程度の全体像を考えてはいたのかもしれないけれども、そういった点ではコードウェイナー・スミスの未来史っぽい感じもするけれど、読後感はぜんぜん違う。ある意味、スピンオフ作品だけ読まされたといった感じに近い。
とはいうものの、個々の短編だけを見てみると、それなりに面白く、笑える話やシリアスな話や、じんわりとさせられる話などバラエティに飛んでいるので飽きさせない。
のだが、やっぱり、15編もの作品を読んでも全貌がさっぱり見えないどころかアレックスの話がどこへと向かっていくのかさっぱりわからないというのはフラストレーションが溜まる。
はたして、続きが翻訳されるのだろうか。
コメント