『犯罪ホロスコープII 三人の女神の問題』 法月綸太郎

  • 著: 法月 綸太郎
  • 販売元/出版社: 光文社
  • 発売日: 2012/12/15

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前巻が出てから、五年までは経過しなかったけれども、後編のこの本が出るまでにそれでも五年近く経過してしまった。
といってもそのぐらいの期間は覚悟していたので別に問題でもないのだが、しかし、それだけの期間が経過してしまうと前巻の内容はすっかり忘れきってしまっているので、それはそれでちょっと問題でもある。しかし、そういった部分も考慮したのかしなかったのか、このシリーズは基本的に相互に関連する内容ではなく、あくまで法月綸太郎が探偵として活躍して星座に関係した犯罪が行われるという縛りだけなので、前巻の内容を忘れてしまっていても殆ど影響はない。
前巻と同様にクオリティは高く、法月綸太郎らしい端正なミステリになっているので、読んでいて安心して読むことができる。
「宿命の交わる城で」でのミステリでのあるトリックのひねった使い方とか、「三人の女神の問題」での背理法による謎解きとか、どこがどう面白いのかを書こうとするとネタバレになってしまうので書けないのだが、細かな部分で面白いことをやっていたりする。特に最終話の「引き裂かれた双魚」では、エドワード・D・ホックのとある短編にインスパイアされたというだけあって、ここで登場する論理はちょと意表を付かれた。

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