五巻が終了しても主人公はまだプロの漫画家にはなっていない。
吉田聡という漫画家の半自伝的な物語というところから想像する物語とは大きくかけ離れているともいえる。
そもそも絵がうまかったわけでもなく、人並み程度に漫画は読むがそれほど大好きでもなく、明確な意志をもて漫画家になろうとしたわけでもなく、半ば成り行き上で漫画家になろうとしたわけだからプロの漫画家になるまでには苦難が続くのであるが、その過程であからさまな漫画論が唱えられるわけでもなく、メインとして描かれるのは不器用な生き方しかできない主人公の苦悩であって、その点では吉田聡が今まで描いていた物語と何一つ変わるものではない。
とはいうものの、マイナーな漫画家に弟子入りし、そして師となった漫画家は途中で引退し、持ち込みをかけた出版社はこれまたマイナーな出版社のマイナーな雑誌で、担当してくれた編集者も途中で退職してしまう。
さらにはこの巻ではとうとうその雑誌でさえも休刊となってしまった。
そして主人公はいまだデビューすらできていない。
さて、次巻の予告では主人公の反撃が始まるとされているのだが、いったいどうなることやら。
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