学園が舞台となるのだけれども、主役は生徒ではなく先生の側であるというところが少し変わっている。
そもそも、雄弁学園という学校そのものが普通の学校ではなく、たとえば普通の高校とくらべて、商業高校が商業に関係した授業を行い、工業高校が工業に関係した授業を行なっているように、この雄弁学園では弁論を磨くことに主眼を置いた授業が行われているのだ。
そうなると変わっているのは先生よりも、この学校をあえて選んで入学しにきた生徒のほうであり、先生は生徒に翻弄される側の立場でもある。
その一方で、先生同士の間でもいろいろな確執というものがあり、なおかつ時期学園長をめぐっての選挙活動が行われ、そして時期学園長をめぐって、学園の方針そのものにも変化が訪れようとするのだ。
とこんなふうに書くとなんだかしちめんどくさい話のようにも思えてくるのだが、実際のところは日常の謎系のミステリであり、たしかに、ここで提示される謎は論理に論理をかさねたようなしちめんどうな詭弁的な謎でもあったりするけれども、そこは門井慶喜の書く物語だけあって、そんな謎を踏まえた上で、先生たちの人生の物語になっているあたりが面白い所で、舞台は違えど、味わいは『おさがしの本は』に近い味わいを持っている。
『パラドックス実践 雄弁学園の教師たち』門井慶喜

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