早川書房が古典的なスペース・オペラを出さなくなったの対して、その後を引き継いでくれているのが東京創元社というわけではないのだが、東京創元社がこうして古典的なスペース・オペラを出すってことは古典的なスペース・オペラもある一定の価値が出てきているということでもあるのだろう。
今回は野田昌宏が編集したスペース・オペラ傑作選全二巻を合本として出してくれた。正直な話、まさか東京創元社がこれを復刊してくれるとは予想だにしなかった。
いつか手頃な値段で中古本を手に入れることができたなら読んでみようと思っていたので、今回は渡りに船といったところで、さすがにハヤカワ版の表紙は採用されなくって新たな表紙となったけれども、野田昌宏の解説はしっかりと収録されているうえに、牧眞司による新たな解説も収録されていて、これが現時点での最新情報に基づく解説なのでいたれりつくせりといったところだ。
とはいえども、今読むとさすがに物語として単純すぎて、センス・オブ・ワンダーも何も感じられないのだが、それでも年代的に戦後に書かれた作品になるとそれなりに楽しむことが出来る。「お祖母ちゃんと宇宙海賊」などはスペース・オペラのフォーマットをひねくってみせた話しなので、今でもそれなりに楽しめる。
しかし、個人的に気に入ったのはジョン&ドロシー・ド・クーシー「夜は千の眼を持つ」だ。ウィリアム・アイリッシュの同名の作品が好きだというせいも多分にあるだろうけれども、この作品もスペース・オペラのフォーマットから少し外れた部分にその面白さがあって、もっとも、これを楽しむことができるのは歳をとったせいかもしれないけれども、こういった話が読めたのは予想外のことで、なんとなくだけれども得をした気分になった。
『太陽系無宿/お祖母ちゃんと宇宙海賊 スペース・オペラ名作選』エドモンド ハミルトン他

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