- 訳: 田村 義進
- 著: ウォーレン マーフィー
- 販売元/出版社: 早川書房
- 発売日: 1989/03
『愚か者のララバイ』の他にもう一作、手に入ったので読んでみた。
今回はトレーシーのお父さんの場面から物語が始まる。トレーシーの父、パトリック・トーレーシーは元警察官で、現時はニューヨークで私立探偵を営んでいる。お父さんのパトリックの方も息子に負けず劣らず、いいかげんで適当なんだけれども、年の功だけあって息子の方よりはまともだ。
で、次の章になると、腕利きなんだが問題児である二人の刑事、ラゾーニとジャクソンのコンビが登場する。このコンビ、会話も洒落ていて、トレーシーに負けないくらいのいい加減の適当さだ。
で、その後の章になってようやく主人公、デブリン・トレーシーが登場するんだけれども、今回はやけに旗色が悪いというか影が薄い。
パトリック・トレーシーが引き受けた素行調査と、ラゾーニとジャクソンが追いかける新興宗教団体の教祖の殺人事件、そして放送会社の社長令嬢の失踪事件という三つの事件が、登場人物たちの適当加減とは裏腹に密接に絡み合い、主人公たちを翻弄させる。
今回新しく登場した、ラゾーニとジャクソンのコンビがなかなか強烈で、レギュラーキャラクターになるのかと思うほどなんだけれども、残念なことに、かれらが登場するのは今回だけ。まあ、問題児でありながらも腕利きという設定なので、彼らを活躍させてしまうとチコとトレーシーのコンビがかすんでしまうので仕方が無いか。
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