『天冥の標』は二巻目の『救世群』まで読んだところで積読状態。電子書籍化されつつあるのでそろそろ続きを読まないといけないと思っているところに、こんな短めの長編が出た。
相変わらず早いペースで書き続けているなあと思うのだが、『天冥の標』以外の本も積読状態にしているとどんどんと溜まっていきそうなかんじなので、読むことにした。といっても買ってからだいぶ積読状態だったのだけれども。
時間SFといっても行き来するのは情報のみであって、そういう点ではジェイムズ・P・ホーガンの『未来からのホットライン』とかグレゴリイ・ベンフォードの『タイムスケープ』と同じレベルの物語だ。未来から過去へ助けを求めるという点では『タイムスケープ』なんだけれども、こちらは未来からだけでなく過去からも未来へ助けを求めるうえに、双方向の通信が可能となっている。
『タイムスケープ』の重厚さと比べるとライトで爽やかなのが大きな違いでもあり、どんな困難な状況下にあってもどんな絶望的な状況であっても最後には救いがあるのが小川一水の物語なのでライトで爽やかなのは別に欠点でも何でもない。オビにも書かれているように長大なシリーズの合間に箸休めとして読むのにちょうどいい長さの物語であり、もちろん長大なシリーズの合間に箸休めとしてだけでなく、気軽に手にとってそして読み終えて面白かったと思うことのできる物語だ。
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