『東京大学で世界文学を学ぶ』辻原登

  • 著: 辻原 登
  • 販売元/出版社: 集英社
  • 発売日: 2013/3/19

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僕はもっぱらSFとミステリが好きだったのでそちらの方面の小説は読んできたけれどもそれ以外のジャンルの小説は疎い。
特に文学と呼ばれる系統の小説はほとんど読んでいないに等しい。
そんな状態で果たしてこの本を楽しむというか読みこなすことができるのだろうかという気持ちもあったのだけれども、逆にこの本を取っ掛かりとして今まで読まずにきていたジャンルの小説にも目を向けることが出来ればいいなという思いもあって読んでみることにした。
そもそもこの本は辻原登が東大で講義した内容を元にしたものなので、読むのではなく講義を受けるという心構えで読めばいいのだ。
という気持ちで望んだのだが、早い段階でつまずいた。
というのもドストエフスキーは19歳までに読んでおかないと読んだことにならないということが書かれてあったからだ。確かに、本というものは読むのに適した年代というものがあって、その時期を逃すと面白さが半減してしまうということがある。文学作品もやはり若いうちに読んでおくべきものだったのかもしれない。
この本を読んで、いっそのこと読破したっぽい気持ちにでもなれればいいのだがと思ってしまった。
と意気傷心しながらも、『ドン・キホーテ』のあたりでなんとか持ち直すことができた。僕は『ドン・キホーテ』すらも読んでいないのだがそれというのも『ドン・キホーテ』レベルになると読まなくってもどこかしらであらすじレベルのものを見聞きしていてそれで結局読まずにきてしまっていたのだが、あらためて辻原登による『ドン・キホーテ』の講義を受けてみると、これは読まなければいけないなあという気分になってくる。特に『ドン・キホーテ』という作品だけではなく作者の生涯も知ると、無性に読みたくなってくる。
読みたくなるといえば、サルマン・ラシュディの『悪魔の詩』もそうで、この本が翻訳された当時はまったく興味がなかったのだが、この本の問題になった部分が物語の基本となる部分ではなくあくまで一部で、物語そのものは僕が思っていたようなものとは全くかけ離れた内容だったことを初めて知った。

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