『狩眼』福田栄一

  • 著: 福田 栄一
  • 販売元/出版社: 講談社
  • 発売日: 2009/9/8

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オーダーメイドとウェルメイドを混在させたかのような話。
とこう書くと貶しているようなのだが、僕はそもそも福田栄一に対する期待値が高いので、貶しているかのような感じになってしまうのだが、物語そのものは決してつまらないわけではない。
主役を刑事にして警察組織を舞台にし、そして起こる事件はシリアルキラー的な事件で要するに警察対シリアルキラーという物語で、そして主人公はごく普通の刑事なんだけれども、この刑事がコンビとして組まされるというか面倒をみさせられることになる本庁の刑事の方が組織のはみ出し者で、優秀なんだけれども、個人プレーに徹して単独行動をする人間として描かれる。
そしてこうした点がウェルメイドっぽさを感じさせる部分でもあるのだが、そういった部分を手堅くまとめ上げるのがこの作者の長点でもある。
初期の作品にみられた同時多発的にトラブルが起こるという展開はせず、あくまで事件はひとつで展開も一直線なのだが、丁寧に貼られた伏線や意外な犯人、そしてはみ出し刑事がなぜはみ出し刑事になったのかという部分等、手堅くまとまっていて、続編を期待させる話なんだけれども、はたして続編は書かれるのだろうか。

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