『オンノジ』施川ユウキ

  • 著: 施川ユウキ
  • 販売元/出版社: 秋田書店
  • 発売日: 2013/4/19

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同時に発売された『バーナード嬢、曰く。』の方が入手の困難さや、SF方面に対するなんやかんやで、もてはやされているし、僕自身も先に買ってしまったのだが、実を言うと一番先に気になったのはこちらのほうだった。
というのもある日突然、主人公の少女とフラミンゴ以外すべての生き物がいなくなってしまった世界という設定は僕の琴線に触れる設定だからだ。
で、実際に読んでみると僕の予想を尽く覆すような漫画で、傑作とまではいえないけれども、今まで施川ユウキの漫画を読んで来なかった自分に猛省をうながしたくなるような話だった。
そもそも長編漫画かとおもいきや四コマ漫画で、しかもそこで描かれるのは主人公の日常の風景だ。一人と一匹以外すべての生き物がいなくなってしまった世界という非日常の中で、主人公たちの日常を描いているという時点でなにかおかしいうえに、一匹であるフラミンゴも実は人間の男の子で、すべての生き物がいなくなってしまった日に目覚めるとフラミンゴになっていたという設定だ。
どこからつっこめばいいのか、もしくはこんな設定に対して合理的な解決がありうるのか、とかいろいろと思うところも出てくるのだが、しかし、読んでいるあいだは、作者が仕掛けてくるさまざまなボケの応酬に笑い転げるので手一杯になるので、ほとんど気にならない。
それでいて時折、不意打ち的にしんみりとする切なくなるような話があったりして、なんかいいはなしなのだ。そしてこのまま非日常の中の日常漫画というままで物語が終わってもいいなあと思っているところで物語は予想外の場所に着地した。
『バーナード嬢、曰く。』よりも読まれるべきなんじゃないのか。

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