毒を食らわば皿まで、というわけではないが、『バーナード嬢曰く。』、『オンノジ』と読んでしまったので、ここで『鬱ごはん』を素通りしてしまうというのはいかがなものかと思い、読んでみることにした。結局、なんだかんだいって出版社の思惑にまんまと乗せられてしまったという気もしないでもないが、しかし、施川ユウキの漫画が気に入ってしまったことには違いない。
で、この漫画なんだけれども、食をテーマにした作品は数あれど、そのどれもが食べることの楽しみや喜びを描いているのに対して、それとは全く正反対のことを描いている。
いや、どの話も基本的に主人公が何かしらの食べ物を食べようとしてあれこれする話で、その方向性としては泉昌之の世界に近いのだが、そこで描かれているのは食べることの苦しみだ。
いやはや、これまでのグルメ漫画とは向かうベクトルがまったく逆方向に向いているというのは恐れ入るばかりだ。よくもまあこんな話を描こうと思ったものだ。
しかし、『バーナード嬢曰く。』を読んだ人間にとっての本当の衝撃は巻末のおまけにあって、この本にも、同時発売された他の二冊に関する主人公が言及するというおまけが付いているのだが、ここでこの漫画の主人公が触れるのは『バーナード嬢曰く。』におけるあのイーガンねたに関してだ。
『バーナード嬢曰く。』だけを読んで満足していたら危なかった。
作者自身によるセルフつっこみが『鬱ごはん』の方に入っていたわけで、あのイーガンねたは『鬱ごはん』のおまけまで読んでようやく完成するのだった。
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