大伴昌司というとやはり怪獣博士であって、ウルトラマンシリーズに登場した怪獣の体内を図解したものが印象に残っている。
いや印象に残っているどころか僕という人間を構成している要素の一部でもあって、どのくらい影響を受けているかといえば昔作った自作ソフトウェアのヘルプに怪獣図解を真似た形でソフトウェアの内部図解の絵を自分で描いて載せたくらいだ。
しかし、よくよく考えてみると大伴昌司が亡くなったのは1973年。さすがに僕も生まれてはいたのだけれどまだ7歳。少年マガジンなど手にとったことも存在していることも知らなかった時代で、どう考えてもリアルタイムで大伴昌司の怪獣図解と接していたことはありえないのだ。
じゃあどうやって怪獣図解を知り得たのだろうかというとどうにもその辺りの記憶が無い。多分、雑誌に掲載されたものをまとめた怪獣図鑑か何かで見たのだとしか思えないのだが、いずれにしてもそれだけのインパクトがあったことは確かだ。
しかし、あらためて怪獣の図解をみてみると例えばバルタン星人であれば、バルタン胃とか、バルタン足、バルタンひふなど、そんなもの説明されなくってもわかるよと突っ込みたくなるような解説や、重力あらし袋とか、におい袋といった、なんでも袋にしてしまう強引な部分など、安易だよなあと思ってしまう。
でも、そのあたりが、要するに身近なレベルで想像できる分かりやすさという部分であり、分かりやすさという部分が世間に広く浸透していった大きな理由の一つだったのだろう。
そして、こうして一冊の本としてまとまった大伴昌司の仕事の形跡をみてみると、多作というかものすごいペースで次々と仕事をこなしていったことがよく分かる。
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