ようやく読み終えた。
『都市と都市』といい今回のこれといい、チャイナ・ミエヴィルって人は、ほんとにもう、おかしな設定を考える人だと思う。
『都市と都市』ではひとつの空間に同時に二つの国家をモザイク的に混在させるという事象を強引に実現させることをしていて、それがどのような方法で実現させたのかといえば、一方の国民は他方の国家の場所及びそこに含まれるあらゆるものを認識しないという方法で実現させていた。
見ることができるのに、脳の中ではそれを認識しないというまじめに捉えればそれはそれで構わないのだけれども、一歩間違えればギャグにしかならないような方法だ。
で、今回は二つの口から同時に異なる言葉を発音して会話をするという異星人とコミュニケーションをとるために、特殊な双子を育てて二人ペアで同時に異星人の言語を喋らせてコミュニケーションをさせようとする話だ。
言語の奥に、それぞれの言語をしゃべる人間同士の間で特殊な共感のようなものが存在しないと異星人たちは、いかに正確な発音をして喋ってもそれを言語として認識しないという設定は、なかなか興味深い。
言葉の奥にそれを使う人間の存在がなければ言語として認識しないというのはある意味、言語というものを突き詰めた考え方でもある。
それはもう少し簡単にいえば、誰かの書いた文章を読んで、そこに書かれた意味だけではなく、それを書いた人物の人物像のようなものが見えなければ、そこにかかれた文章は意味を成さないといっているようなものである。
そして、チャイナ・ミエヴィルは、そんな世界が成立するためにはどんな要件が必要で、そしてその世界はどのように進んでいくのかを描く。
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