『リライト』法条遥

  • 著: 法条 遥
  • 販売元/出版社: 早川書房
  • 発売日: 2013/7/24

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思いのほか早く文庫化された。
去年の中旬ごろに、この本の感想を聞いてみたいというコメントがあって、そんなに大したことを書いているブログではないので、あまり期待されても困るなあと思いつつも、この本に興味はあったので、そのうち読もうと思っていたのだが、あいにくと地元の書店には入荷されなかったのか、それとも先に誰かに買われてしまっていたのかで、身近な書店では見つけることができなかったので、そのままになってしまい、文庫化されたら読んでみればいいやという感じにもなっていた。
内心、電子書籍化されればいいなと思ってもいたのだが、というのはこういうタイムパラドックス系の場合、電子書籍で気になった箇所を検索をしながら読むと楽なのであったが、残念ながら電子書籍として文庫化はされなかった。
それはともかくとして、文庫にして280ページ程度、思いのほか薄かったのが意外だったが、このくらいの分量で楽しませてくれるというのは一気に読みきれるという点でありがたい。
精緻なタイムパラドックスというよりも、力技の強引なタイムパラドックスという点で、少しがっかりしたのだが、詳細な時間軸の移り変わりをメモしながら、パズルを解いていくような形のタイムパラドックス物はもはや時代遅れとなっているのかもしれない。
一読しただけなので、完全に理解しきれているわけではないのだが、いくつか疑問に思う点が無きにしもあらずといったところだが、前述のように、精緻なパラドックスというわけではないのであまりこまかなところに注目してばかりいても、意味が無い。
過去の作品をオマージュという形で展開させながらも、最後の最後でちゃぶ台をひっくり返すようなことをしたという点では、前代未聞というか、素晴らしいと手を叩きたくなる。
なので、この調子で作者には、過去の感動作の作品を次々とぶん投げていってほしいなあという気持ちもある。

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