『銀の匙』が作者の実体験を元にした創作であるとすれば、こちらは実体験そのものダイレクトに面白おかしく語ったエッセイ漫画だ。
ということで、ここで描かれている事柄の一部は『銀の匙』でも同じように描かれてはいるのだが、しかし、同じ素材を元にしながらも全然違う味付けになっているところが凄い。言い換えれば『百姓貴族』と『銀の匙』とを読み比べれば、作者が素材をどのようにして物語へと転換させているのかということがわかるようにもなっている。もっともそんな読み比べなどしなくってもそれぞれ別個に楽しめばいいのであるが、両方をくらべることでまた異なる読み方ができるという点ではお得だといえる。
『百姓貴族』のほうは、物語という要素がない分、農業という仕事の厳しさや楽しさ、北海道で農業を営むということだけではなく、その地で生活するということに対する知られざる世界がダイレクトに描かれる。
しかし、農業を営むことの厳しさや辛さも常に作者自身の視点を通すことでユーモアに包まれて語られるので、ついつい、笑ってページをめくってしまう。
まだ、二巻もあるので、農業に対するネタはまだまだ尽きることはないようだ。
この本、電子書籍で読んだのだけれども、ページの隅にパラパラ漫画が描かれていた。
うーん、こればかりは電子書籍では楽しみようが無かったのが少し残念。
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