封印されたテレビ番組というものがある。
一回は放送されたものの、その内容になんらかの問題があってその後再放送されなくなってしまった番組のことだ。
メディアを通して発表されたコンテンツであればそうなる可能性というのはゼロではなく、そのメディアがテレビ放送だけではなく他の媒体であっても同様で、この本は漫画というものに焦点をあてた本だ。
そもそも漫画というのは今でこそある程度の市民権を得ていて、漫画であるというだけで下に見られることは少なくなったけれども、僕が子供の頃はまだ市民権も得ていなくって、漫画を読むということは一ランク下に見られていた。
この本の素晴らしい点は、取り上げた作品を年代順に紹介している点で、年代順に並べるというのは普通の手法ではあるのだけれども、時代に応じてその漫画が封印されてしまった理由の変化というのが見えてくるというところだ。
しかしその一方で、時代が変わろうが変化しない封印の理由というのもあって、そのことを思うと、この先も同じような理由で封印されてしまう漫画が出る可能性がゼロではないことに悲しみを覚える。特に、時代が新しくなるに連れて顕著になってくる盗用問題などだ。
残念なのは、というかこの本のコンセプトがコンセプトなので仕方のないことだけれども、漫画という題材を扱っていながらも挿入されている絵が少ないことだ。さすがに、問題のある絵をそのまま掲載することなどできないわけで、文章から想像するしかない。
もうひとつ残念なのは、この本があと一ヶ月、いや二ヶ月ほど遅く出ていたならばという点だ。もう少し遅く出ていたならば、この本の中で『はだしのゲン』の閉架問題も取り上げられていたのかもしれない。
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