『福家警部補の再訪』大倉崇裕

  • 著: 大倉 崇裕
  • 販売元/出版社: 東京創元社
  • 発売日: 2013/7/20

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実を言うと僕はあまり刑事コロンボが好きではない。だからといって嫌いなわけではないので、たまにテレビで放送されたときには、他に何も観るもの、やることがなかった時には観たりするのだが、それと同じように古畑任三郎シリーズもほとんど観ていない。
なんで好きじゃないのかというと漠然としたものになってしまうが、多分、犯人に対して感情移入してしまいがちになるからかもしれない。
大体において、物語の焦点はコロンボと犯人の知恵比べであり、犯人にも情状酌量の余地がある場合がけっこうある。だからついつい、コロンボの負けを期待してしまいがちになってしまうのだ。でもコロンボは真相を見抜き、犯人を捕まえてしまう。
また、倒叙モノがあまり好きではないのも理由の一つだろう。
そのコロンボ警部を継承した福家警部補もまた、犯人の残した手がかりから一直線に事件の解明へと突き進む。
福家警部補からの視点では語られることは一切無いので福家警部補が何を考えているのかは全くわからない。何を考えているのかわからない人物が犯人を追い詰めるのだ。
読者側は、犯人も犯行動機も犯行方法も全てわかっているのに、唯一わからないのは福家警部補がいかにして犯人の残した手がかりから真相を見ぬくのかという点である。
あまり好きではないのについつい読んでしまうのは、この部分の面白さのせいだろう。

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