怪奇系が六編、SF系が六編、間にミステリ系の話が一編の計一三編。
論創社のダーク・ファンタジー・コレクションで仁賀克雄が、「ボーモント」よりも「ボウモント」のほうが発音が近いので、これからは「ボウモント」で行きたいと書いていたけれども、結局「ボウモント」は根付かなくってやっぱり「ボーモント」のままだ。
論創社のダーク・ファンタジー・コレクションの『残酷な童話』が第一短篇集に一遍を追加したもの、『夜の旅その他の旅』が第三短篇集だったのに対して、今回は日本オリジナル編集。
さすがに、編者との好みの違いというものもあるし、名作といわれているものも収録してあるけれども、それが今の視点で楽しむことができるのかというと微妙な部分もあって、というよりも、チャールズ・ボーモントの小説ってわりとオーソドックスな部分があってオチがどうのこうのという部分だけではなく、雰囲気というか、語り口というか、ボーモント自身の人生観みたいなものが小説の根底の部分に横たわっていて、その部分を味わうのが楽しみ方の一つなんじゃないかと思う。
というわけで、特にSF系の話は奇抜なアイデアの部分を期待するとがっかりするかもしれない。
しかし、オーソドックスなアイデアをこんなふうに味わい深い物語にできるのはやっぱりチャールズ・ボーモントだからであって、できることならばその他の作品も翻訳されたらいいなと思う。
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