かつて drive.co.jp というサイトがありました。
と、いっても今のところまだあるし、まだしばらくは残っているけれども、やがて無くなる予定です。
僕はこの drive.co.jp というサイトのデザインを手がけていたことがあって、と書くとなんだかそれは過ぎ去った過去の出来事で今はその役目を終えてしまっているように見えるけれど、実際のところ今でもデザインの変更をしても構わない状態なので、それをしていないのはただ単純にサボっていたにすぎず、手がけていたことがあったなどと過去形で書くのは言い訳めいた書き方かもしれません。
でも、このサイトは僕以外の人間でもやってみたいデザインがあればやっても構わないサイトでもあったのです。まあ、そのことを知っている人も今では少なくなってしまったし、当時も僕以外やろうとする人もいませんでした。なので事実上、僕が好き勝手にデザインしていたサイトでもありました。結局、言い訳ですね。
で、サイトを最後に変更したのが2001年の6月です。
かれこれ12年以上も昔のことになります。
ずいぶん長いこと放ったらかしにしていたものだと思います。
なんて書くとなんだかひとごとのような書き方で、まるで反省していないようにも見えるかもしれませんが、これでもちょっとは反省していますし、申し訳ない気持ちも少しはあるのです。
そんなわけで最後にちょっとだけ、申し訳程度に更新をしておこうと思いサーバー上においてある過去のデータの整理をしていたら、面白いものが出てきました。
driveというサイトができて五年目に書いた文章です。ほぼ全文を掲載してみます。Netscape Navigatorなんてブラウザーの名前が出てきたりするあたりが時代を感じさせます。今となっては知らない人のほうが多いんじゃないかと思うのでちょっと補足しておくと、Netscape NavigatorというブラウザーはFirefoxというブラウザーの元となったブラウザーのことです。
- Drive ZERO [1996/06]
ここからDriveが始まりました、って書くとなんだか格好いいですね。でも、Webサーバーを立ち上げた際に、とりあえず公開していたものなので、殆ど世間の目には触れていません。テスト公開だったのですから全てモノクロで統一しておいた方が良かったと思います。
途中から使うようになったものだと思ってたのですが、この時点で既に「Start Your Engine」と言う言葉を使っていました。個人的にこの言葉、Driveのキャッチコピーとして使っているのですが……いちばんエンジンをかけなきゃいけないのは自分です。
このころはまだ、Netscape Navigatorというブラウザーはバージョン2が主流でバージョン3がまだ「Atlas」と言う名前のベータ版だったころでした。IEはまだバージョン2の時代、こちらはまだ、フレーム分割表示も出来ない代物でした。 - Drive 1st [1996/06-1996/10頃]
探してみたけれど、残っていませんでした。今となっては「よくあんなものをTopページに使っていたよなぁ」と思うぐらいの代物なので、残っていなくて一安心。コンセプトはわりと気に入っていたんですけどね。テキストベースで地図のようなものが作れないかと考えて作ったものです。そしてコンテンツが増えるごとに、空き地の部分が埋まっていくようになことができたら面白いなと思って作ったのです。
Netscape Navigatorのバージョン3でtableタグの背景に色を指定出来るようになり、「これは凄い」と思ったのがこのころです。※2013/11 追記
ついでなので、当時の記憶を頼りに復元してみました。こんな感じのデザインです。復元させてみて驚いたのは、これってWindows8のMetro UIじゃないかってことでした。ただ、僕の場合はこの先のデザインを求めていたので、その先まで行き着いていれば、違ったものになっていたかもしれません。 - Drive 2nd [1996/10頃-1997頃]
今のところ、唯一自分が作らなかったTopページ。HTMLファイルは残っていたけれど、タイトル画像が消失していたのでリンクはしません。 - Drive 2nd(New Year’s Version)
Drive 2ndの正月バージョンです。こちらは残っていたのでリンクしました。 - Drive 3rd [1997頃-1998頃]
標識があって、車があればDriveって感じかな、というつもりで作った記憶がありますが、そんなことよりも画面いっぱいに、でかい画像を使ったページを作ってみたかった、ってのが本音です。今の通信環境からすれば、大したことないのですが、当時は重いページでした。なので、圧縮されやすい色使いにしたり、画像を分割して見かけ上だけでも、軽くさせる方法を考えたりと、色々と苦労した記憶が残っています。今では画像の分割なんてありふれた手法なんですけどね。
作った当初はリンク先が増えたなら、標識を上へと追加していけばいいやと思っていたのですが、飽きっぽくって絵柄をころころと変える自分の性格をあまく見ていました。半年後にリンクを追加しなければいけなくなった時、絵柄と自分の作風が変わってしまっていた為に、もの凄く苦労しました。気球の部分がその苦労のたまもので、というか全然駄目です。
改めて見直してみると、光源を右上にしているのが、ひねくれていて実に自分らしいです。 - Drive 4th [1998頃-1999/02頃]
電子部品の基盤をモチーフにするつもりだったのは覚えていますが、出来上がったものは全然別のものでした。自分なりに消化しようとしたら、完全に消化してしまって、カスしか残らなかったせいでしょう。まぁ、自分が作ったものとは思わなかった人いたので、他の人から見ても失敗していたと思います。 - Drive 5th [1999/02頃-1999/05]
テキストだけでどれだけグラフィカルに出来るかやってみたかったッス。とはいえ色彩的には地味ですね。多分こんな気分だったのでしょう。
個人的にはもの凄く気に入っているのですが、世間的にはもの凄く訳の分からないデザインだったと思います。でも気に入っているとはいえ、Tableタグを使いまくって、よくもまぁこんな馬鹿なものを作ったものだと思う気持ちもちょっぴりあります……
検索されやすい、ということを考えると、文字だけでグラフィカルなページを作るというのは最良の方法論だと思っていますが、実際に作るのは非常に困難ですね。いつの日かもっと力をつけ、再チャレンジし、技工の粋を凝らした超絶技工と言われるようなものを作りたいと思っています。
IEの利用者がNetscape navigatorより上回始めた時期でした。 - Drive 6th [1999/05-1999/05]
だんだん絵が少なくなるね。と言われたので、根性入れて架空の街並みの風景を3Dグラフィックで作りました。しかし、カメラ視点を変えながら何枚もレンダリングをして、適切な画像サイズを考えていったら、結局はこんな感じになってしまいました。最終的にこんな形になるのだったら、フリー素材を使った方が、遙かに楽でした。
意図的に微妙にずらした配置をしてみたのですが、なんだか落ち着きが無いだけで、完全に失敗しています。何故こんな不思議なレイアウトにしたんだろう?
左上のバーコードがアクセスカウンターになっていました。 - Drive 6th(Jacket Rimix) [1999/06-1999/06]
Drive 6thをレコードのアルバムジャケット風にアレンジ。これを作った時、下の三部作の構想が出来ました。
最初は、こんなデザインではなくて、遠くに街の夜景が見えて、夜空に流星が流れている、というデザインだったのですが、出来上がってみると何故か、夜の街に何十発ものミサイルが降り注いでいる、ってな悪夢のような代物になってしまったので、前回のアレンジって手法も有りなんじゃないかと自分で自分を納得させて作りました。 - Drive 7th [1999/06-1999/07]
Driveが立ち上がって三年の月日が経ち、その事に対して自分なりにけじめをつけようと試みた三部作の第一弾です。ある時「Drive in the rain」という言葉が浮かび上がりました。雨の中をドライブしていたら、やがて雨が止み、彼方に虹が見えた、そんなイメージです。雨とドライブとそしてメタファーとしての虹は三部作の一作目、二作目、三作目のテーマと呼応しています。虹から「Over the Rainmow」が結びつき、「オズの魔法使い」にたどり着きました。リンクの配置を本の索引風にして”A-N”と”O-Z”とを中途半端に分割したのは「オズ(OZ)の魔法使い」だからで、この後、本の表紙風にアレンジしたブックカバーバージョンを作るつもりでした。
梅雨時に公開するつもりで、わざと雨をモチーフにしたのですが、心がどす黒い人間の癖に、割とさわやかな感じになったのは、作っている最中「In the Rain」という言葉からジーン・ケリーの「Singin’in The Rain(雨に唄えば)」が頭の中を流れまくっていたせいでしょう。 - Drive 8th [1999/07-1999/08]
第二弾はディズニーのアニメーション映画「ピノキオ」で使われた「When You Wish Upon A Star(星に願いを)」をモチーフに。DriveだからStarはやっぱりディープ・パープルの「Highway Star」でしょう。でも、最初はSpeed Kingにしようか、ちょっと悩みました。といってもHighway StarもSpeed Kingも判る人は少なかったでしょうからどちらでも良かったかもしれません。静止している絵だけで疾走感を出せないものかと思考錯誤したのですが、やっぱり力及ばずでした。僕があまりアニメーションを使わないのは、静止した絵でありながらも動きを感じさせる絵を描きたいと思っているからです。まぁ、アニメーションがめんどくさいってものありますが。当初はこれも映画のワンシーン風にアレンジしたディレクターズ・カットを作る予定でした。 - Drive 9th [1999/08-1999/12]
7thでは音楽+本、8thは音楽+映画と、他のメディアをリミックスさせたのですが、最後はリミックスなどせず、音楽だけで勝負しようとしました。が、結果は当たって跳ね返されたってとこでしょう。使った曲は二つ。「It’s doesn’t mean a thing(スイングしなけりゃ意味がないね)」とブルース・スプリングスティーンの「Born To Run」です。三部作でモチーフに使った曲は「Born To Run」以外、全てジャズの曲です。ジャズからロックへというコンセプトで「Born To Run」を使ったのですが、意気込みだけが空回りしています、というか三部作の完結編ということで、色々とコンセプトを詰め込み過ぎて消化不良を起こしていまいました。四部作にすれば分散されて良くなったと思いますが、三部作にしたのはDriveの一年目、二年目、三年目という意味もあったので仕方ないことでした。
前2作がまがなりにも余白の部分をデザインの一部に取り込む努力をしていたのに、これだけこぢんまりとしたデザインにしてしまったのは大失敗です。
7thと8thに対してそれぞれアレンジバージョンを作っていたら、これもレコードのアルバムジャケット風にアレンジしたものを作って6thのコンセプトへ戻るという螺旋的な円環構造で完結させる予定でした。 - Drive 10th [1999/12-1999/12]
えーと、単なるXmasバージョンです。急いで作ったので、サンタと雪だるまの配置と構図が良くありません。小さな人形っぽさをもうちょっと出せることが出来たら良かったんですけどね。これを公開してからある人に「デザインする人が変わったと思ってた」と言われました。自分自身では、こうして一同に集めてみても、全部自分が作ったものだと納得できるのですが、他の人からみれば違うのでしょうか。振り返ってみると、雰囲気が変わったとか、作風が変わったとか、そんなことばかり言われ続けてきています。 - Drive 11th [2000/01-2000/10]
2000年の正月バージョン。実を言うとこの絵、個人ページのトップページ用の為に描いた習作の一つを加工してごまかしたものです。正月バージョンといいながら、10ヶ月以上もこれを使い続けていました。まぁ、この年の干支ですから12月31日まで使い続けてもおかしくはないのですが、10月ともなるとさすがに焦り始めました。
これを作った時に、竜をモチーフにした絵を毎月載せていって、12ヶ月分揃うと一つの物語になっているという、だいそれた考えが浮かんだりもしたのですが、毎月ストーリーを考えながら苦労して更新しても、誰も気が付かないだろうから止めました。いろんな意味で、止めて正解だったと思います。 - Drive 12th [2000/10-2000/12]
気が付けば今年も後2ヶ月。とりあえず、季節に関係のない当たり障りのないものを作っておかねば、ということで作ったもの。ところが、いつもならそれなりのコンセプトと、その絵の世界設定を作ってから作成するのですが、その時の気分だけで作ったので、あまり印象に残っていません。まぁ、強いて言えば、モチーフとしたのは○○なんですが、新しいアイデアが浮かんだので○○が何かなのは、秘密にしておきます。ここで使用しているDriveのロゴデザインも、出来上がった瞬間は「すばらしい!」と思ったのですが、改めて見てみると「何じゃこりゃ!」です。ま、こういう気持ちになるのはいつものことで、出来上がった瞬間は「オレって天才!」と思うのですが、しばらくすると「何であんなものを作ったのだろう」と自己嫌悪に陥ります。 - Drive 13th [2001/01-2001/06]
全然そうには見えないけれど、個人的には正月バージョンです。僕くらいの年代になると、二十一世紀の風景ってのは、高層ビルの間に透明なチューブが走っていて、車は空を飛び、人々は銀色のタイツのような服を着ていて……そんな世界が脳みそに刷り込まれてしまっています。そんな懐かしい未来の風景から現実の風景へと切り替わる、というアイデアから出発したのですが、これって夢から現実へという、自分のスタイルとは逆方向のものだったので止めました。もの悲しい雰囲気が潜んでいるのは、二十一世紀の風景が懐かしい未来となってしまったことに対する思いを完全に払拭しきれなかったせいでもあります。
絵に書かれている英文の意味については適当に解釈して下さい。日本語でそのまま書くと照れくさくなるような文章の場合、英語にしてしまうことをよくやります。これもそんな内容です。 - Drive 14th [2001/06-]
14thです。黒の背景に、少し待たされてから青空の絵が表示されたらちょっと良いかもしれない、ってのが最初の発想です。なので空の画像はちょっとサイズを大きくしてありますが、モデムで接続している人しか体験できないことです……マイノリティに対するおまけ的な要素ってのはいつでも心掛けています。
5周年なんだから15thだときりがよくって良かったんですが、後の祭りです。さらに予定よりも早く30万アクセスを突破してしまったし、なかなか思い通りにはいかないものです。
Drive 9thでひとまずの区切りをつけたのですが、次のステップに進むためには想像していた以上に時間がかかりました。そんなわけで、個人的には第2期Driveの始まりです。最初は左右対称の配置にしていたのですが、第2期の始まりから左右対称という「安定」を求めて保守的になるのはいやだったので左右非対称にしました。それなりの世界設定の元にデザインしてあるので、しばらくは同系統のデザインを続けようと思っているのですが、Drive 15thはそんなものを捨てて全く違うデザインになる可能性が高いと思います。やっぱり。
立体的に見える枠の部分は手描きで、立体的に見えない空は3Dグラフィックスを使っているんですが、手間をかけた割には面白い効果が出なかったので、すこしがっかりしています。でも、こういう無意味なところを無意味なまでに凝りまくる癖は一生治らないと思います。
これがDriveトップページほぼ全部です。
フレーム分割を使わないこと、JavaScriptを使わないこと、PlugInの必要なものは使わないこと、特定のブラウザーでしか使えない機能は使わないこと、必要性のないところに画像を使わないこと、無意味なアニメーションは使わないこと、どんなブラウザーでも違和感無く表示すること、一枚の絵として成立していること、等々、かなり制約を設けて作ったいるので物足りない部分ってのは色々とあります。とは言えど、制約を無くしたら良い物が出来るかと言えばそうでもなく、技術よりも技工がものを言う世界だと思います。
ま、それはともかく、こうして一同に並べれば、普通はそれなりの歴史の流れみたいなものが見えてくるのですが、さっぱり見えてきません。当時のことを思い出して、コメントをつけてみたのですが、歴史が見えるどころか、反省しなければいけない部分ばかりが見えてしまって、なんだか反省文を書かされているような気分でした。よく言えば時代を超越しているってことでしょうか……まぁそう言うことにしておきます。
五年間でこれだけの更新というのは正直な話、結構更新してたじゃないかって思うのですが、冷静になって考えると、これじゃ少ないんじゃないのかという気分になってくる上に、五年間でこれだけということは、この先五年間で更新できる量をそのまま指し示しているような気もしてくるのだけれど、それについては考えなかった事にします。
以上が当時書いた文章なのですが、最後の一文がいい教訓ですね。五年間でこれだけ作ったからといって必ずしもそれが、その先五年間の仕事量には結びつかないという点で。
あらためて過去の自分のデザインを見てみると、恥ずかしい部分もあるし、いまだったらこうしているのにと手直しをしたくなる部分もあるのですがそこはぐっと我慢して、リンク先など一部、そのまま公開するのでは支障ある部分だけデザインに支障ない範囲で修正しただけで、それ以外は当時のままです。
他に、姉妹サイトとしてkids.drive.co.jpというサイトもあって、そちらのデザインも僕がやっていたのですが、kids.drive.co.jpに関してはあまり記憶が無いというか、毎回デザインを変えるというよりも少しずつサイトをしっかりしたものへと作り変えていくという要素の方が大きかったので、過去のデザイン遍歴よりも最終的なデザインのほうがすべてでした。スクラップアンドビルドってやつですね。過去に使った画像とかが少し残っていたのですが、さすがにこれをあらためて公開するのは恥ずかしすぎるので止めます。
で、最後のデザインとなったDrive 15thについてちょっとだけ書いておこうかな。
- Drive 15th [2013/10-]
15番目というにはおこがましい程度の変更なんだけれども、これで最後のデザインなので15番目ということにしておいてください。
Drive 14thでの青空は窓の向こうの景色であって、この青空ってのはインターネットのメタファーでもありました。僕が一番最初に作ったサイトでも、ページの最後にインターネットというものを銀河系のような絵で描いたことがあって、どこかでいつもインターネットというものの広大な世界を何らかの形で描こうとしていた部分もあります。そういう点でDrive 14thはこのページからいろんなネットの世界につながりますよというメッセージを込めていたわけです。でも、そこでその後のデザインがストップしてしまったのは、次は青空の向こうの世界をデザインしてみようと思いつつもそのデザインは僕の手にあまるものであり、どうにもイメージができなかったせいでもあります。今あらためて、当時描こうとした青空の向こうの世界をデザインしてみようとしたのですが、やはり無理でした。なので最後のDrive 15thのデザインはその窓を閉じたものです。しかし、drive.co.jpというサイトが消え去ったとしても、僕にとっては Drive is Do Live なのです。
これが、僕の drive.co.jp の記録で、そして記憶です。
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