人類を滅ぼそうとする魔王が三度よみがえった。
預言者が予言した四人の人間が魔王の討伐に向かい、そして魔王は打ち倒された。
世界に平和が戻ったのだ。
しかし、一つだけ謎が残された。
魔王討伐に向かった四人の人物が全員、自分が魔王を倒したと言うのである。
四人はパーティーを組んで共同で魔王の討伐に向かったのではない。それぞれが個別に魔王の元へと向かったのだ。
では一体誰が魔王を倒したのか、そして残りの三人は何故嘘をついたのか。
魔王が現れ、そして勇者が魔王を倒す。ファンタジーとしてはありふれた設定でありながら、そこに、誰が魔王を倒したのかという面白い謎を放り込んだのがこの物語だ。
魔王を倒した人物を探しだす任務を負った主人公達が探偵役となり、四人の中から本当のことを言っている人物を特定する。パット・マガーが生きていたら書いていたかもしれないひねくれた設定のミステリであり、いかにも田代裕彦が書きそうなミステリでもある。
ただ、今回は物語半ば、事件が解決するのは後編となるのだが、解決編で一気に真相が明らかになる構成ではないため、四人のうち誰が本当のことを言っているのかという結果にはなりそうもない。真相は思いもよらぬ方向から明らかになる気配がするのだが、果たしてどうなるのか。
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