『ひきだしにテラリウム』九井諒子

  • 著: 九井諒子
  • 販売元/出版社: イースト・プレス
  • 発売日: 2013/3/16

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全三十三編のショートショート漫画集。
しかし、いやこれは凄いなあ。
短い話はたった二ページ。長くても十ページ程度の分量なのだが、星新一のショートショート並みのオチの切れ味のよさといい、それぞれの内容に合わせた絵柄の変化といい、この人はどんどん凄くなっていく。
前作までにあった、ファンタジーの世界における設定を外挿的に入れ込んで現実的に描いた話も何編かあるし、今回はファンタジーだけではなくSFアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』を彷彿させる設定を用いて未来の社会を描いてそしてとんでもないオチに結びつけたりする。しかもたった二ページでだ。
そのほか、紀行エッセイ風の展開で、架空の国の社会を描く「えぐちみ代このスットコ訪問記」はエッセイの部分と実際の部分で絵柄を変えて、エッセイの部分では簡略した絵、実際の部分ではリアルな絵と、内容だけではなく絵の部分でも楽しませてくれる。
これだけ高水準な作品を作ってしまって、この後大丈夫なのかと心配になったりもするのだけれども、多分、この人なら大丈夫に違いない。そんな気がする。

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