これは面白かった。
死ぬことによって進化するというキッカイという敵の設定といい、それに対抗する人型兵器の細かな設定といい、特に、その兵器を開発したのが日本であり、所有しているのも日本という状況であるために、他国からの反発を避けるためにさまざまな足かせが設定されているあたりがワクワクする。人類を滅ぼしかねない敵を倒すために作られた兵器は、その敵がいなくなった後は他国に対する巨大な軍事兵器として転用される可能性があり、それ故に人類の切り札である人型兵器は、通常兵器によって破壊されるようにわざと弱点を持って作られているのだ。
さらに、その兵器の運用も、実際に乗り込んで操縦する手段と、遠隔操縦する手段との二系統が用意されていたり、読んでいて楽しくなる。
ただその一方で、お世辞にも読みやすいとはいえない文章、読み手の想像に委ねる描写、盛り上がりに欠ける構成、と欠点はいろいろとある。
それらは作者があえて選んだ手段でもあるので、そう言われればこういう手法もありなのかなと思わないでもないのだが、できることならばもっと素直にワクワクさせる物語を読ませて欲しかったという気持ちもある。
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