『ヨハネスブルグの天使たち』宮内悠介

  • 著: 宮内悠介
  • 販売元/出版社: 早川書房
  • 発売日: 2013/5/24

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時代的には近未来。
世界の様々な地域では民族紛争やら宗教問題等がまだまだ残っていて、そして終わりの気配すら見せない。
そんな中で、一つのガジェットとして日本製の人型ロボットDX9が登場して、まあこれは初音ミクを彷彿させる設定であり、それゆえに玩具としての扱いなんだけれども、民族紛争といったリアルな設定と比べると、いくら未来といってもDX9の性能は高性能過ぎる。
そのあたりがどうも僕には受け入れることができなくって最後まで物語にのめり込むことができなかったのが残念。
とはいうものの表題作における終盤のDX9の使われ方は驚いた。
しかし、一番驚いたのは二番目の「ロワーサイドの幽霊たち」かな。
これって、ブライアン・W・オールディスの「リトルボーイ再び」じゃないかと思ったのだ。豊田有恒が激怒して「プリンス・オブ・ウェールズ再び」を書いたり、山本弘が「リトルガールふたたび」という作品を書いたりしていたんだけれども、はたしてこれがアメリカ人に受け入れられるのだろうかとも思う。
もちろん、描き方そのものは悪くはない。悲劇を追体験することで、受けた傷を癒すことが出来る場合もある。
のだが、それでも克服できない人はいるのだ。

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