『續 さすらいエマノン』鶴田謙二

  • 著: 鶴田 謙二
  • 販売元/出版社: 徳間書店
  • 発売日: 2013/11/30

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ものすごくゆっくりと時が流れていく漫画だ。
まるで、作者である鶴田謙二の寡作ぶりをなぞらえているがごとくであるが、同時に、エマノンという地球に生命が発生してから現在までのことを総て記憶している少女の人生。、つまり約三十億年という年月との対比をさせているがごとくのようでもある。
セリフが極端に少なく、絵だけで物語が進んでいくというせいもあってそれはまるでイラスト集というよりも小説の挿絵のようでもあり、そこには存在しない活字による物語が背後に存在しているような感覚も生み出す。そしてそれはもちろん読者の頭の中に存在する物語であり、鶴田謙二の描く物語を読みながらも同時に、読者自身も自身のエマノンの物語を生み出しているのだ。
エマノンの持つ記憶が子供に引き継がれ、同時に引き継ぐとすべての記憶を失ってしまうという設定はそれだけをみればSF的な設定の一つに過ぎないのだが、それが生きた人間の中における設定の一つとなるととたんに悲しい設定に早変わりしてしまう。悲しい結末の後に用意されたエピローグにおいて鶴田謙二はその辺りの部分もしっかりと描きながらもそれを悲しいだけではないドラマとして描いていたのに驚いた。

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