僕はマイク・ミニョーラの絵が好きなので「ヘルボーイ」のシリーズを読むようになったわけで、だから短編集だった『プラハの吸血鬼』はともかくとして『闇が呼ぶ』『百鬼夜行』と新たに始まった長編シリーズの方でマイク・ミニョーラが絵を描かなかったことは仕方がないとはいえ不満だった。
が、新シリーズで絵の方を担当したダンカン・フィグレドの絵が悪いというわけでもなく、これはこれでマイク・ミニョーラには無い世界を見せてくれてそれなりに良かったわけで特に、集中線や効果線を使わないマイク・ミニョーラに対して、ダンカン・フィグレドは必要とあれば使っていて、特に今作ではヘルボーイが運転する場面では今までにない絵を見せてくれてはっとさせられる場面もあった。
物語としては『闇が呼ぶ』で始まり『百鬼夜行』と続いた一連の物語に決着が付き、というかヘルボーイの出生の秘密がそんな部分にまでつながっているということに驚かされると同時に、ヘルボーイという物語の設定の奥深さというか懐の広さと堅牢な設定の構築力にあらためて感動した……のだけれども、この結末には唖然としてしまった。
これでとうとう、ヘルボーイも物語も終わりなのかと一瞬おもってしまったのだ。
しかし、これでヘルボーイの物語が終わってしまったわけではなく、今度はマイク・ミニョーラ自身が作画して新シリーズが描かれつつあるということで、物語自身が深刻でどんなにシリアスな展開をしてもヘルボーイ自身は飄々として、大雑把で、それでいて心は繊細というところが揺るがないのであればどんな展開になっても楽しませてくれるだろう。
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