ヒューゴー賞・ネビュラ賞受賞作でありながら長らく絶版状態だったのだが、映画化に合わせて新訳で復刊した。
と書きながらもこの本、実は今まで未読で、買ってはあったけれども手を付けないままだった。
短編版も未読なままで、それでいてオチの部分は既に知っている状態だったというせいもあるし、表層レベルの物語でいえば『エンダーのゲーム』という物語は天才少年が軍事教育を受けてその才能を発揮して敵をやっつけるというミリタリー物だという部分が読む前にすでに食傷気味だったからだ。
とはいうものの、この物語の原型短編が書かれたのは1977年、長編版は1985年であることを考えるとこの物語のほうが後継の物語の原型、もしくはインスパイア元となっているというのが正しいわけで、やっぱりもっと早く読んでおけばよかったというのが正しいだろう。本との出会いはタイミングで、読むべきタイミングを逃すというのは不幸な出来事なのだ。
で、気を取り直してこの機会に読んでみたわけだが、この物語やっぱり好きではない。わざわざ読まなくっても良かったんじゃないかという気すらしてくるのは、作者の主人公に対する仕打ちの酷さのせいでもある。そもそも10歳の少年に二人の少年を殺させてしまっているうえに二人の少年が死んだことを主人公には隠し通したままで、それは結局、エンダーという少年が地球の命運を握る少年だったからだ。作者であるオースン・スコット・カードがさらりと描いたこの部分は読んでいてやっぱり釈然としないものを感じるわけで、そこがオースン・スコット・カードという作家の資質でありながらもやっぱり素直には受け入れたくない部分でもある。でもエピローグの部分はいいね。
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