『バベルの図書館』つばな

  • バベルの図書館
  • 著: つばな
  • 販売元/出版社: 太田出版
  • 発売日: 2014/1/22

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見かけの二重星』は面白かったけれどもだからといって同じ作者の他の漫画に手を出さなかったのは絵があまり好みじゃなかったからで、『第七女子会彷徨』だって悪くはないはずなんだけれども、それなりに巻数が出ていて、好みじゃない絵の漫画をそこまで読まなくってもいいんじゃないかという気持ちがあったからだ。
なので、今回のような一冊で完結している本の場合だと手に取りやすい。
オビに書かれている、

彼女の心は壊れてしまった。ぼくの言葉で。

という文章が、何やら不穏な要素を醸し出していてさらには、ちょっとダークなボーイ・ミーツ・ガールストーリーという文章も気になる文章だ。
作者のあとがきが付いていて、そのあとがきを読むことで始めてこの物語で作者がやりたかった事がわかる、というか明確になるというのは僕自身の読解力のなさのせいかもしれないが、あとがきを読むことで腑に落ちたというものまた事実だ。
多分それは選ばれなかったもう一つの物語のほうに焦点を当てるという中で、本来ならばメインとなるハッピーエンドの物語に対して、選択されなかったもう一つの物語、それが今回の物語となるのだけれども、その物語の異様さというかちょっとどころではないダークな部分が強烈すぎると同時に、それ故にこの物語に対しての何らかの一発逆転的な結末があるんじゃないかと思わせながらもそんなものは描かれなかったという物足りなさがあとがきを読むまで引きずっていたせいだ。
選ばれないという形で始めて救いのある物語になるというのは残酷な物語でもある。

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